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「勇気あるものより散れ」5巻のネタバレ感想

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「勇気あるものより散れ」は相田裕がヤングアニマルで連載中の作品で、この5巻が本日発売の最新刊になります。相田裕の作品というと、「ガンスリンガーガール」、「1518!」と連載し、その次に発表したのが「勇気あるものより散れ」になります。

相田裕の作風と言うと、繊細で細やかな心の動きを丁寧に描いたもの。「ガンスリンガーガール」はかなり血腥い設定ですが、その陰惨な状況の中で登場人物達は僅かな幸せを見出して戦い続けます。

それに比べると「1518!」は、埼玉県の高校生の学生生活を描いたもので、一般的には代表作として扱われる「ガンスリンガーガール」よりも、本来の相田裕の美点が出ている一作だと思います。しかし、世間的にはあまり人気になったとは言えず、全7巻。1518というタイトルにはいくつかの意味を持たしていますが、その中の一つに主人公たちの15歳から18歳まで(つまり高校時代)を描くという意味が合ったのですが、7巻で一年生が終わって2年に進級する春休みで終わりになっています。作者のツイッター(現X)を追っていたら、事実上の打ち切りらしいです。編集部の好意でどうにか切りの良いところまでやれた、というのが本当らしいです。

その次に連載したのが、この「勇気あるものより散れ」になります。舞台は明治初年の東京。ずっと権力者の影の力として生きてきた異形の一族が、新しい時代を迎えて苦しみながら戦っていくという物語です。

主人公は、一族の1人である少女の眷属となった青年。戊辰戦争では会津藩士として激戦を戦いながら死処を得ず、生き延びてしまったという設定で、この青年が明治政府の中心になる薩摩藩士、昔の会津藩士、新選組の生き残りなどが入り乱れて、東京の町で戦っていきます。

謎の一族は、不死の吸血鬼と九尾の狐伝説を足して2で割った上に、幕末期に活躍した剣豪たちの逸話をプラスしたような設定で、山田風太郎好きには見逃せないものがあります。

ただ、近年の日本の歴史の裏にいた異形の一族って、無惨様もそうですが西洋の吸血鬼をなぞった設定が多い気がします。そのあたり、もう少し気を使った作品が読みたい気もします。

この5巻では、一族の幼馴染の少年と主人公の少女が、母親を巡って争う経緯が描かれています。この一族は血を飲ませることで気に入った剣術使いなどを眷属にすることが可能。それぞれの剣士が、主人のために命がけで戦う姿は悲壮感があって、ガンスリンガーガールの義体が盲目的に担当官を慕うのとどこか通底している気がします。

相田裕は、アニメ化に関してはガンスリ2期でやらかしているので、いくらアニメ用の原作が払底していてもなかなか企画が通らないと思いますが、「1518!」、「勇気あるものより散れ」の丁寧なアニメ化作品がみたい、という願いがあります。

 

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