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更新日:2008-12-25
タイトル:
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更新日:2008-12-14
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半七捕物帳〈1〉 (光文社時代小説文庫)

元祖捕物帳
光文社
発売日:
カテゴリ:Book 
通常24時間以内に発送
おすすめの平均:5.0
レビュー数:8


◇◇作品紹介◇◇
2007-08-18
捕物帳という、時代小説のジャンル内ジャンルを築き上げた名作の第一巻です。
岡本綺堂という人は、生まれが1872年(明治5年)という時期で、元徳川家御家人の家に生まれただけに、「江戸」が体内にまだ生きているという人です。
それだけに、この半七も実に江戸情緒あふれる作品群で、中年にさしかかっている私のような読者には癒し効果抜群。

彼の文章は全く難しいところが無く、水がスラスラと流れていくような読みやすさで、所々分からない部分は有りますが、それはこちらが歌舞伎などの知識が無いため。
実に簡略で明快な文章です。
この文章が醸し出す江戸情緒が最大の魅力であり、捕物帳はもとより、怪談の短編もたくさん書いていますが、いずれも楽しく読めます。
癒し効果を求めて、寝る前に怪談を読むって変な気もしますが、それほど「怖く」は無いので、私自身は岡本綺堂の作品をそう言う読み方をしています。


彼にとっては、「本業」はあくまで歌舞伎の脚本であって、小説は余技だったようですが、実に大きな功績で、おかげで彼以後の小説家たちは数多くの岡っ引きや八丁堀同心、火付け盗賊改めの名探偵を生み出す土壌を得たことになります(ついでに言うなら、テレビの時代劇番組も岡本綺堂には多くのモノを負っています)。

江戸のシャーロック・ホームズとしての和製推理小説の最初期のモノ、という見方も有りますが、「推理小説」としてみると、現在の技巧を凝らしたモノと比べて、あまりにも単純すぎます。ちょっとした味付けに推理風味も使っている、というぐらいに取った方が良いでしょう。
もっとも、アマゾンのレビューにも有るとおり、解説の都筑氏は大反対しそうですが……。
もちろん、ここで味付け程度と書いているのは、だから半七は価値が薄いという意味ではなく、推理小説を読む楽しみとは別種の楽しみがこの作品群の魅力なのだ、という意味です。

(tom)

◇◇アマゾンのレビュー◇◇

◇◇アマゾンのカスタマーレビューからの抜粋◇◇
概要:江戸岡っ引ミステリー第一巻!
おすすめ度:5
コメント:シャーロックホームズに影響を受けた作者岡本綺堂が
舞台を江戸時代に、探偵を岡っ引に代え仕立て上げた
推理物シリーズ第一巻。明治の世に、若い新聞記者が
岡っ引き上がりの老人半七の昔話を聞くというスタイル。

謎解きのテクニック等は確かに現在のそれに比べると単純かもしれないが、
100年近く前に書かれた点を考慮に入れると決して古びているわけではない。
それ以上に、捕物帳というジャンルを一人で創り上げ、
この作品が未だその頂点に君臨しているのは驚異に値する。

また現代に生きる我々が本書を手にした場合、
この目で見たことも無い江戸の粋な風俗/情緒が
スタイリッシュに、生き生きと描かれている点が
この上なく興味深く、魅力的である。

本書第一巻は14の短編を所収。「勘平の死」という短編が印象的。
岡っ引半七が犯人をとある方法で追い詰め、その結果、その犯人はある行動を採る。
それは現在のモラルからすると×なのだが、それを半七は優しさからやっている。
現在の我々のモラルからすれば全く腑に落ちないのだが、これが書かれた
明治の世には未だこの感覚があったのだろうと想像すると極めて興味深い。
概要:江戸の香り
おすすめ度:4
コメント: 1985年に出た『半七捕物帳』の新装版。活字が大きくなっている。そのぶん、厚くなってはいるが、読みやすいのは間違いない。
 「お文の魂」から「山祝いの夜」までの14篇が収められている。
 捕物帳というスタイルを確立したことで知られる「半七捕物帳」だが、結局、これを乗り越える作品は生まれていないのではないかと思わされる。やはり、文章が良い。スタイリッシュで、淡々としていながら、味わいがある。
 江戸の風俗を描くという点においても優れていると思う。自身が旗本の子孫であった岡本綺堂ならでは。また、幕末に活躍した半七の話を、思い出話として聞く形式を取っており、無理なく物語の世界に入り込める。
 ただ、ミステリとしては弱い。トリックと呼べるほどのものはないし、プロットで読ませていくタイプなのだが、真相が明らかになっても、あんまり驚きはない。そういう読み方をしてはいけない作品なのだろうとは思うが。
概要:半七翁夜話
おすすめ度:5
コメント:推理小説というよりは江戸時代(1840年代から60年代ごろ)の風情を楽しむ本と言えば、後書きの解説を書いていた作家の都筑氏が怒りそうだが、奇抜なアイデアの推理小説が跋扈する現代ではそういう見方が妥当だと思う。江戸の風俗、淡々とした読みやすい文章は風情があると言うしかない。推理小説というよりも犯罪を通して見た人間の姿を巧みに描写する。個人的に思ったのが、男の欲望が書かれる物は多いが、本作では女の欲望、性(さが)、愛情を中心に描かれている物が多いのが珍しいと感じた。どの話も面白く読めるが個人的には「弁天娘」が一番巧みに感じた。しかしよく鰻を食うねぇ。
概要:郷愁を呼ぶ江戸情調
おすすめ度:5
コメント:文章も平易で、あっさりした印象でありながら、何度読み返しても味わい深く、その江戸情緒が郷愁を呼ぶ。

昔、小林信彦さんがフォード監督の「リバテイバランスを撃った男」の映画評で「額縁に入った昔の絵」という表現を使われていたが、この作品もまさにそうである。半七老人が語る事件は彼の若き日の回想であり、それを聞いた当時駆け出しの新聞記者であった筆者が、往時の老人との交友を懐かしく回顧しながら記すという二重構造が郷愁を呼ぶ仕組だろう。

このシリーズを読んだ後に読むと、あの「鬼平犯科帖」なども、ひどくあざとい物語に感じられてしまう。

第一作の「お文の魂」で記される「半七はだれに対しても親切な男であった」という主人公のさわやかな印象がシリーズ全編を通じて感じられ、それも心地良い。

概要:江戸の不思議と怪異の雰囲気に親しみつつ、推理小説の謎解きの妙が楽しめる短編集
おすすめ度:5
コメント: 江戸幕末に岡っ引として活躍した神田三河町の半七親分が、その手柄話を、明治30年頃に「わたし」に語って聞かせる。その事件の顛末を、「わたし」がメモ帳に記して世に発表したのがそれぞれの話であると、そうした聞き語り形式の連作短編集ですね。半七老人と「わたし」が会って、時候の挨拶を交わす話の枕の部分。その話がきっかけとなって、「そう言えば、こんな話がありましたよ」と、半七老人が手柄話を語り出す。あわててメモの手帳を取りだして、事件の顛末を書き記していく「わたし」。事件の真相が半七老人の口から明かされると、舞台は江戸から明治の今に立ち戻り、話はささっと閉じられる。
 ワンパターンの話ですが、淡々と抑えた綺堂の筆致がまず素晴らしい。そして、行間から立ち上ってくる江戸の風情の粋なこと。ぼおっと霞むような光と闇の世界がそこには広がっていて、ふっとなつかしい気持ちにさえなります。雅趣に富んだ話の味わいがいいんですよ。

 本書で一番気に入った話は、「奥女中」でした。
 文久二年(1862年)八月、茶店を出している母親が、娘の身に最近妙なことが起きて心配であると、半七親分にその謎を調べてくれるよう頼みに来ます。そして、お蝶という美しい娘が時々に姿を隠す不思議の話が、母親から半七親分に語られていきます。怪しい夢のような話に耳を傾けていると、やがて話に動きがあって、そこからすっと解決の光が射し込んでくる。不可解な謎に筋道がついて、そこからさらに、静かな調べを湛えた話が流れて行く。しみじみと心に染みてくる話の風情に魅了されました。


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