ティーリングウイスキーは、アイルランドのダブリンのインディペンデントボトラーです。インディペンデントボトラーとは独立瓶詰め業者で、当時クーリー社の社長であったジャック・ティーリングがハンドクラフト、スモールパッチのアイリッシュ・ウイスキーを作るべく、クーリーを離れて2012年に設立しました。ちなみにハンドクラフトは「手作業による生産」、スモールパッチとは「選び抜かれた少数の樽から瓶詰めされたウイスキー」という意味です。そういう作り方なので、生産量、流通量はけっして多くはないのですが、優れた品質を実現しています。
アイリッシュウイスキーは大手メーカーによる寡占化が進んで居ますが、このティーリングは大手に属さない独立した会社であり、アイルランドの蒸留所と樽の供給に関する契約を結び、長期に渡り確保することに成功。
2015年にはティーリングウイスキー蒸留所を開設して、独自の生産を始めており、ボトラー(瓶詰業者)から一歩、進もうとしています。
アイリッシュウイスキーは18世紀後半から19世紀初めには世界でもっとも大きなシェアを持っていました。しかし、大きな市場であったアメリカが禁酒法を施行し、その影響でアイリッシュに限らず、ウイスキーのマーケットは大きく揺らぎました。
第二次世界大戦で、スコッチウイスキーは米軍への供給を通して復活。その流れで戦後の米国市場、ひいては世界の市場に大きなシェアを獲得して、ウイスキーといえばスコッチという通り相場が出来ました。
アイリッシュウイスキーはそうした戦略に乗り遅れ、一時は相当な没落を余儀なくされましたが、近年になってようやく日の目を見ています。
90年頃から復興の兆しが見え始め、徐々にシェアを伸ばし、現在のアイリッシュウイスキーは世界市場の5%程度のシェアを持っていますが、毎年順調に伸びており、ティーリングウイスキーもその中で期待の新鋭として注目を集めています。