ブキャナンズはスコッチウィスキーの歴史の中で、特に重要な人物5人の中の一人、ジェームズ・ブキャナンが立ち上げたブレンデッドウイスキーの銘柄です。
ジェームズ・ブキャナンはカナダ生まれのスコットランド移民の息子で、生まれた直後に英国に戻り、ラーンで育ち、グラスゴーのWM Sloane&Coという船積み会社に社員として14~15才で入社し、後に書記官に昇進したということです。
1868年にブキャナンはウイスキー貿易会社の代理店としてロンドンに移り、1879年まで穀物事業に携わりました。そして、1884年、自身の名前を冠した会社を設立し、ウイスキービジネスに本格的に参入しました。
彼の事業は順調に発展し、1889年にブキャナンズ・ブレンドはパリ万博で金メダルを獲得、1897年にウェールズ王子(後のエドワード7世)の為のブレンドを作り出しました。このブレンドは特に名前を与えず「スコッチ・ウイスキー、スペシャリィセレクテッド」という名前で知られるようになります。その、翌年にはビクトリア女王とプリンス・オブ・ウェールズの御用達をつとめ、1907年には日本の皇室の御用達にも選ばれています。
ジェームズ・ブキャナンは長年のウイスキー業界への貢献を認められ、1922年に叙勲を受け、1935年に死去しました。
ブランドは、1925年にディスティラーズカンパニーの参加し、ディスティラーズは1986年にギネスに買収されて、さらにギネスは1997年にグランドメトロポリタンと合併して、ディアージョへと組織を変えていきます。
そうしたスコッチ・ウイスキーの流れの中で、ブキャナンズは割合に高級なブレンデッドウイスキーの銘柄として存在感を高めています。
なお、日本では、ジェームズ・ブキャナン社の作る普及品の方のブラックアンドホワイトの方が知名度が高いかも知れません。当初はブキャナンズ・ブレンドは黒いボトルに白いラベルだったのですが、それが巷でブラックアンドホワイトという愛称で呼ばれる様になると、1904年に銘柄名自体をブラックアンドホワイトに変更。更に1937年に黒のスコティッシュテリアとウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアのキャラクターデザインに変更して広告展開を開始。今のキャラ物みたいな戦略ですがこれが当たって、ブラックアンドホワイトは大いに売れました。
現在でも、ジェームズ・ブキャナン社の主力銘柄で、価格面でも割合に入手しやすい銘柄になっています。
この他にジェームズ・ブキャナン社は王室御用達のロイヤルハウスホールドというボトルも作っています。