ロースバンクはスコットランド・フォルカーク、フォースアンドクライド運河の辺りに建つ蒸留所です。
1,798年にはすでにこのフォルカークに蒸留所が存在したという記録があり、スターク兄弟によって運営されていましたが、蒸留所の名称は不明です。
1,817年にジェームズ・ロバートソンがこのスターク家の蒸留所の近くにローズバンクという名前の蒸留所が開業したと伝えられますが、これは1,819年までしか開かれていませんでした。
1,827年にジョン・スタークは運河の西岸にキャメロン蒸留所を開き、1836年に彼が亡くなるまで運営し、その後キャメロン蒸留所はトーマス・ガンの手に渡り、1,840年にようやく現在の場所にジェームズ・ランキンがかキャメロンのモルティング施設を購入してローズバンク蒸留所を設立。
これがローズバンクの直接の始まりと言われます。
その後キャメロン蒸留所が破産して、ジェームズ・ランキンはこの跡地も購入して一部をローズバンクのものとして存続させます。
その後、ローズバンクは多くの蒸留所と同じく所有者を転々としますが、ローランドモルトの代表的な銘柄として「ローランドの王」と呼び称させるほどでした。
しかし、1993年にその時点での所有者だったUD(ユナイテッドディスティラーズ=現ディアジオ)によって閉鎖され、2002年には跡地が英国内の運河を管理するブリティッシュウォーターウェイ公社に売却されます。その後、2008年から翌年のホリデーシーズンには跡地から蒸留所の命とも言えるポットスティルとマッシュタンが盗まれてしまいます。
これでもうローズバンクは歴史的な存在へとなっていくかと思われましたが、2017年になってイアン・マクロード・ディスティラーズが商標権と残存原酒をディアジオから、跡地をブリティッシュウォーターウェイの継承団体であるスコティッシュカナルから購入し、再稼働に向かって動き始めました。
現在は残存原酒を吟味して発売している他、2019年からは稼働開始すると伝えられています。
ローズバンクの特徴はスコッチウイスキーでは珍しく(しかし、かつてのローランドでは伝統であった)3回蒸留を閉鎖の時点まで続けていた数少ない蒸留所です。
イアン・マクロード・ディスティラーズは、旧オーナーであるディアジオと連携して残された記録からオリジナルの蒸留設備を再現して、「かつてのローズバンクの味わいを完璧に再現する。ライバルはかつてのローズバンクのクラシックなスタイルと味わいである」と語っています。
新ローズバンクのシングルモルトが市場に出回るようになるにはあと数年は掛かるでしょうが、シングルモルトファンには楽しみなことです。