ミラーズは、アイリッシュウイスキーの銘柄で、もともとは1843年にダブリンのアダム・ミラーズ&カンパニーによって作られ販売開始しました。
最初はプレミアムウイスキーとして生まれ、1960年まで販売され続けました。
アイリッシュウイスキーはスコッチに匹敵する歴史もあり、また20世紀初頭には世界のウイスキーシェアの6割を占めるほどの活況を呈しましたが、一大消費地だったアメリカにおける禁酒法の施行(1919年)とアイルランド内戦(1921年)という2つの衝撃をうけ、ようやく落ち着いたところへ世界大恐慌からアイルランド独立に伴う報復でアイリッシュウイスキーがイングランドとその植民地から締め出しを受ける……という苦難が続きました。
さらに第二次大戦ではアイルランドは中立であったために米兵にはスコッチが支給されて、アイリッシュウイスキーは蚊帳の外になってしまい、その生産は大きく落ち込みかつての栄光は消え失せて、戦後のアイリッシュウイスキーの明るい話題といえば、僅かにカクテルアイリッシュコーヒーで使われてヒットした、といった程度のことでした。
ミラーズ・スペシャル・リザーブも古典的なダブリン風ウイスキーとして知られ、アイルランドで伝統的な飲み方をされてきましたが、結局は時代に勝てずに生産中止に追い込まれました。
1987年、アイルランドで唯一のアイルランド資本の独立系蒸留所のクーリー蒸留所が操業開始しましたが、この蒸留所はかつてのアイルランドの栄光あるブランドをいくつも復興させており、ミラーズ・スペシャル・リザーブも1994年から生産再開しました。
ミラーズ・スペシャル・リザーブはアイルランドの首都ダブリンが黄金時代であった1920年代のジェイムズ・ジョイス、オキャシー、イェイツなどが活躍していた時代の薫りをまとったアイルランドらしいウイスキーとして現在では愛されています。