アベラギー(ABERAGIE)蒸留所は、スコットランド・パースシャーに2017年にオープンしたばかりの新しい蒸留所です。
この場所はスコッチウイスキーの分類では、ハイランドとローランドの境目ぐらいにあって、蒸留所の周囲に併設された300エーカーの農場で自家生産されたゴールデン・プロミス種の大麦のみを原料に使っています。
設立したのは、インディペンデントボトラーズ(独立系の瓶詰め業者)であるモリソン&マッカイ社を共同経営するモリソン家になるそうです。
同家は1951年にスタンリー・P・モリソンがウイスキー仲介業を始めたことからウイスキー業界に関わりを持っていき、63年には有名なボウモア蒸留所を所有したのを手始めに、オーヘントッシャン、グレンギリーなどの蒸留所を所有しましたが、1994年にはサントリーに売却。
2005年にスコットランドリキュールセンターをマッカイ家と共に購入して、2014年にリキュールセンターはモリソン&マッカイに社名変更されます。
こうした動きとは別に、同じ2014年にモリソン家はパース蒸留会社を設立して、アベラギー蒸留所建設に向かって動き始め、ようやく2017年の11月に最初の蒸留がスタートしました。
アベラギーの原酒は、熟成にはシェリー樽とバーボン樽を使い、バーボン樽の内、ファーストフィルバーボンバレルに使うものは、ウッドフォードリザーブのものを使うそうです。
スコッチは最短でも3年は経たないと市場に出せないので、そろそろ最初のものが流通し始めるのかな……といったところですが、まあ今の段階では希少性が売りのシングルモルトになるのでしょうね。
しかし、中心となったブライアン・モリソンは元ボウモアで実績も十分。優れたシングルモルトをすぐに生み出していくことが期待されています。