ベイリー・ニコル・ジャーヴィー(Bailie Nicol Jarvie)はサー・ウォルター・スコットの小説「ロブ・ロイ」に登場する人物のことで、その名前を冠したブレンデッドウイスキーになります。
19世紀後半にワイン商人であったニコル・アンダーソンによって作られたのが最初で、その時にアンダーソンは「ロブ・ロイ」にちなんで、愛国的なグラスウェッジの治安判事で商人、ローランド地方の紳士であるベイリー・ニコル・ジャーヴィーの名前をつけました。この名前はちょっと長いので、ブランドが人気を博するにつれて、BNJと呼ばれる様になっていきます。
ニコル・アンダーソンの会社は1881年頃にグラスゴーで設立されますが、20世紀に入って第一次世界大戦で躓き、1919年にぐリノック蒸留所のRソーン&サンズ社が資産を受け継ぎ、しかしソーン社も1921年に破産して、マクドナルド&ミュアオブリース社が破産管財人からBNJブランドを入手します。
こうしてグレンモーレンジ蒸留所を運営していたことで知られる、マクドナルド&ミューア社がブランドを受け継ぎ、作られるようになりました。
最新のBNJは1994年にマクドナルド&ミューア社がブレンドしたもので、アイラモルト、ハイランド・モルト、スペイサイド・モルトとスコッチの人気の高い3つの地域のモルトをブレンドしています。
ブレンデッドウイスキーは大麦麦芽を原料にしたモルトウイスキーに、そのほかの穀物を蒸留したグレーンウイスキーをブレンドしていますが、BNJはその比率をモルトウイスキー60%とかなり高く、贅沢なブレンデッドウイスキーといえるでしょう。
この新生BNJはベルやフェイマスグラウスあたりを仮想敵にしてその市場を奪うことがミッションとされ、2014年には大々的なキャンペーンを実施しましたが、その試みは失敗して、グレンモーレンジのシングルモルトに原酒を集中させるために、モルト含有比率の高いBNJは2014年に市場から撤退。
現在ではもう新たに作られることはありません。
モルトの多い本格的な味わいで、なかなか風情のあるボトルデザインなのですが、こうした理由で現在ではBNJはほぼ見つけることが出来なくなっています。
日本市場でも、ほぼ見かけませんが、もし見かけたら(あまりにプレミアが高くなければ)ゲットしたくなる1本です。