ハイコースト(High Coast)蒸留所は、最近注目を集めているスウェーデンの蒸留所になります。
スウェーデンはウイスキーを製造している蒸留所が17有るそうですが、そのほとんどは小さく、日本市場にはほとんど入ってきていませんが、その中ではまずはハイコースト ウイスキーが一番でしょう。
ハイコーストとは、スウェーデン北東部のアンガーマンランド州にあるボスニア湾のスウェーデン沿岸の一部で、この地域は氷河後期の氷河の融解によって土地が隆起する現象が地球上でもっとも顕著にあらわれている地域で2000年に世界自然遺産にも登録されています。
ハイコースト(高い沿岸)という地名のとおり、土地の隆起の結果、屹立した断崖と多くの入り江、湖、島々が複雑な景観を見せています。
そのハイコースト地方に、2010年ボックス蒸留所(現在のハイコースト蒸留所)は設立されたのですが、当初からコンサルタントにスプリングバンク、ラフロイグなどのマネージャーをつとめたジョン・マクドゥーガル氏、蒸留所長にブルイックラディ、スプリングバング、ベンロマックでの製造経験をもつスウェーデン人のロジャー・メランダー氏を迎えて、注目の中創業開始しています。
スカンジナビア半島は、夏と冬で60度を超える気温差があり、そのためハイコースト蒸留所の熟成庫では夏と冬で樽の膨張と収縮が大きく、そのためいわゆる「天使の取り分」も大きいのですが、熟成も早く進みます。
日本には2019年9月から国内正規販売がはじまり、国内に入ってきているのが、エルブ、ティンマー、ハヴ、ダルヴの4つ。
ハイコースト蒸留所は基本的に2種のニューメイクを作っていますが、日本とアイラ島にインスピレーションを得た製法を採用しているそうです。
日本のウイスキー造りからは透明でクリーンな麦汁を、ピートタイプのモルトはアイラモルトのスタイルを取り入れています。
エルヴ(Älv)
エルヴは「川」という意味だそうで、近くのオンゲルマン(Ångermanälven)川にちなんでいるそうです。ノンピートモルトを使って、サイズが異なる2種のファーストフィルバーボン樽で5~7年熟成され、バニラの風味が特徴のシングルモルトになります。
ティンマー(Timmer)
ティンマーは「材木」という意味で、フェノール濃度が46ppmという相当にピーティなモルトを使ったもので、やはりサイズの異なる2種のファーストフィルバーボン樽で5~7年の熟成をしています。スモーキーなシングルモルトです。
ハヴ(Hav)
ハヴは、「海」という意味で、ピートされたモルト25%とノンピートのモルト75%のブレンドになります。40リットルのヴァージンハンガリーまたはスウェーデンオーク樽で約5ヶ月熟成した後、ファーストフィルのバーボン樽で約6年熟成。フルーティでスパイシーなシングルモルトです。
ダルヴ(DALVVE)
ダルヴは「冬のサーミ人」という意味だそうで、2016年にハイコースト蒸留所から初めてリリースされたシリーズになります。基本的に同じレシピを使っていますが、カスクに応じて細かなヴァリエーションがあります。