富士は、キリンディスティラリー(以前はキリンシーグラムでしたが、現在はキリンの完全な子会社になっています)が、4月21日から発売開始したシングルグレーンウイスキーの銘柄になります。
翌月には「陸 PURE AND MELLOW」も発売していますが、その「陸」とは違い、シングルグレーンウイスキーが富士のポイントになります。
キリンディスティラリーが運営している富士御殿場蒸留所は、この数年、ウイスキーブームに乗って、人気が高まっています。ジャパニーズウイスキーといえば、サントリーとニッカが2大巨頭ですが、最近はいわゆる地ウイスキーがそれぞれに気を吐いています。
こうした中で、キリンディスティラリーは大規模な蒸留所をもつ大手企業になるのですが、サントリー、ニッカに比べると、シェアは圧倒的に小さく、それだけにかなり特徴のはっきりとした製品づくりをしています。
その成果が実を結んだのが、2年ほど前に発売になった「富士山麓樽熟50°」「富士山麓Signature Blend」で、非常に好評を博したのは良いのですが、大ヒットを記録したために逆に原酒不足に陥って、樽熟50°の方はすぐに終売になってしまったほど。
それから1年を経て、この「富士」と「陸 PURE AND MELLOW」が満を持して発売になりました。
富士は、割と珍しい「シングルグレーンウイスキー」という分野の製品になります。
ウイスキーは通常は大きく分けて、モルトウイスキーとグレーンウイスキーに分かれます。
モルトウイスキーは大麦麦芽のみを原料にしたウイスキーのことで、それ以外の穀物やとうもろこしなどを原料にしたのがグレーンウイスキーになります。
そして、良く言われるシングルモルトとは、単一の蒸留所のモルトウイスキーをブレンドしたものになり(一つの樽の原酒をボトリングしたものはシングルバレル、シングルキャスクと呼ばれます)、複数の蒸留所のモルトウイスキーにグレーンウイスキーをブレンドしたものがブレンデッドウイスキーになります。
通常の区分だとこのシングルモルトとブレンデッドウイスキーの2つの分け方で良いのですが(実際、「陸 PURE AND MELLOW」はブレンデッドウイスキーになります)、「富士は」シングルグレーンウイスキーになります。
そして、シングルグレーンウイスキーとは、単一の蒸留所で作られるグレーンウイスキーをブレンドしたものになります。
国産ではシングルグレーンウイスキーとなると、サントリーの「知多」とニッカの「カフェグレーン」が有名ですが、それに続くのが「富士」になるでしょう(もっとも「知多」はかなり品薄で、「カフェグレーン」は現在休売中)。
そのシングルグレーンウイスキーに敢えて挑んだのは、富士御殿場蒸留所が相当にグレーンウイスキーに力を注いでいて、香味タイプの異なる3種のグレーンウイスキーを製造しており、その3種をブレンドすることで独特な味わいに仕上げています。
発売当初の現在では、基本的に「富士」は飲食店向けの銘柄になっていて、一般には流通していません(酒問屋によっては、一般の顧客にも販売していますが)。
「富士山麓」のデザインと近い、どっしりとしたデザインのボトルですが、瓶底に富士山をかたどっていて、ちょっとおしゃれ。素っ気ないほどシンプルなラベルです。
海外市場にも積極的に打って出る戦略なのでしょう。
オープン価格ですが、現在はだいたい5千円前後ぐらいになっています。
ウイスキーとしては中級品から高級品に入るぐらいですが、最近のジャパニーズウイスキーの高騰ぶりをみていると、どんどんプレミアムがついて、とても手が出ない価格まで上がらないか、ちょっと心配です。
【ふるさと納税】キリンウイスキー贅沢セット<シングルグレーンウイスキー富士・富士山麓シグニチャーブレンド>各700ml【ウィスキー ..





キリン シングルグレーンウイスキー 富士 箱なし
※ 2021年2月16日に業界の自主基準で「ジャパニーズウイスキー」の表示基準が決まりました。その内容について記事にしています。