夏目友人帳の最新31巻が発売になりました。ほぼ電子書籍に移行した今でも紙の本で購入している数少ない作品の一つで、早速読んで見ましたので感想を書いてみます。
この31巻には124話から127話までの4話収められていて、127話のみが独立した話で最初の3話は前巻からの続きの「とある少女の肖像」という中編の残りになります。30巻では121話から123話までの3話分を使って、この話の前編を収録しているので、かなりの長編の後半部分といった形。
したがって、この巻からいきなり購入する方もいないでしょうが、基本的には前の巻から続けて購入すべきです。
傾向として、こうした長く話数を使う話はより怪奇風味というか、どこか不気味な妖怪譚の色合いが濃くなる印象がありますが、この「とある少女の肖像」も夏目友人帳の持ち味の一つである「切なさ」を感じさせる部分は少なくなっています。
特に祓い屋の関係者が出てくる話は怪談風になりがちですが、今回も祓い屋の的場一族の的場静司と初登場(だったと思う)の静司の姉が登場してきます。夏目の「味方側」の祓い屋は名取さんの筈ですが、作者はどうやら的場静司がお気に入りらしく、初登場時のいかにも胡散臭げな雰囲気がだいぶまともになっていますね。
ストーリーは、友人の田沼とともに、とある一族の屋敷で行われている祓い屋の術具のオークションに巻き込まれて、その家に隠された一番お宝の術具を探す羽目になる、というもの。田沼がお届け物の日本刀を無くしたり、例によって妖気に中てられて昏倒したり、夏目自身も割りとひっくり返ったりしていて、あまり積極的に事態の解決に動いてはいませんが、色々と思惑とか入り混じっている陰謀譚の一面もあります。
最後の127話はこれだけで独立した短編で、以前の中編にでてきたニャンコ先生の依代のお仲間の猫たちとの絡みが描かれます。もう人が訪れることもない廃墟の遊園地に魔法的な電源が入って、メリーゴーランドが夕闇の中で明るく輝いて動き、その馬達が付喪神的に意識を得ていて、飛び立っていく、という幻想的な物語になっています。
ニャンコ先生が、仲間の猫たちに「またどこかで会うこともあるだろう」と言っているコマもあるので、いずれまた登場しそうです。
夏目友人帳と言えば、私は最初にアニメから入ったのですが、そのアニメの方も2008年の第1期放映から2017年の第6期まで断続的に造られていて、いよいよこの2024年10月シーズンに第7期が放映されます。
いつも、分割2クールを1期、2期というように数えていますので、この第7期の1クールが終わったら、1クール空けて第8期も放映してくれると信じています。
2017年の時点では、原作のストックをかなり消費していましたが、そこから7年。今ではたっぷりとストックがあるので、第8期まで問題ないでしょう。その後、第9期、第10期と続けていって欲しいです。
また映画も本格的に作った「劇場版 夏目友人帳〜うつせみに結ぶ〜」と、その後OVA的に「石起こしと怪しき来訪者」という短編2本を作っていますが、そろそろまたしっかりとした100分オーバーぐらいの劇場版も作って欲しいですね。前作も好評で海外でもしっかり興行収入を稼いだそうなので、今のアニメシーンならば確実に売れると思うのですが。
ともあれ、本日アマゾンから届いて、ざっと読んだだけなので、10月のアニメスタートを待ちながら、今回の31巻を30巻と併せて、再度読み直そうと思っているところです。
夏目友人帳はコミックスもアニメも、最初からあまり時代性を意識していないというか、普遍的に読めるような描き方をしているので、古さを感じないのが美点。コミックスはもちろん、アニメの方も2008年の第1期をいま見ても、クオリティに驚くようなことはないですが、そのかわり古さも感じさせません。つい昨日造られた作品のように気負わずに愉しめます。
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