「猫の地球儀」は、唯一無二のライトノベル作家、秋山瑞人の上下2巻のSF小説になります。
発表されたのは2000年ですから、もう二昔も前の作品ですが、個人的にはエバーグリーンの一作で、今だにいささかも古びたという気がしません。
秋山瑞人はデビューが1998年。デビュー作は「EGコンバット」3巻になります。
同年に「鉄コミュニケイション」全2巻、2000年に「猫の地球儀」上下巻。
2001年に「イリヤの空、UFOの夏」全4巻、2005年に「ミナミノミナミノ」1巻、そして「龍蟠七朝」既刊2巻となっています。
というと多作の人みたいですが、この中で完結しているのが「鉄コミュニケイション」と「猫の地球儀」、「イリヤの空、UFOの夏」のみ。
「EGコンバット」は3巻までで良い感じに進行して、いよいよクライマックスというところで途絶。「ミナミノミナミノ」は2巻程度で完結の予定が1巻で中絶。
「龍蟠七朝」は古橋秀之とのコンビによるシェアワールド企画だったのですが、1巻が発売なったところで続きが出なくなり、5年も経ってから2巻が出たものの、そこで終わり。すでに2巻発売以来10年経ちますが音沙汰を聞きません。
というか、他の作品も発表していませんし、作者の安否も聞きません。
「猫の地球儀」も単体では完結しているのですが、作者があとがきで続編の構想を述べています。それが述べているだけ……。
「猫の地球儀」は舞台が、ガンダムの舞台にもなったスペースコロニー。ただ、そのコロニーの住人達は死滅しており、登場人物ではなく猫達が主人公。黒猫の幽とスパイラルダイバーと呼ばれる格闘技のチャンピオンの焔。
この2匹の猫の戦いと友情の物語を軸に、夢を求めて歩み続ける生き様や、それを許さない厳しい現実を独特の熱量のこもった文章で活写しています。
秋山瑞人といえば、「イリヤの空、UFOの夏」が一番の大作でもあり、世評も高い作品なのですが、個人的にはこの「猫の地球儀」の方が好みの一作です。
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