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キンドルで横山光輝生誕90周年記念電子出版「Selected Works」が展開開始。名作の数々が電子書籍で読めます

SF小説
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アマゾンの電子書籍キンドルで、横山光輝生誕90周年記念電子出版「Selected Works」と銘打って、横山光輝の名作の数々の電子出版をはじめました。

というよりも、これまでほぼ電子出版がなかったのが不思議なぐらいの大物です。

その企画の中に「横山光輝 三国志」、「ジャイアントロボ」「伊賀の影丸」が入っていないのが残念な限りなのですが、他の名作の数々をご紹介します。







横山光輝は、戦後日本の漫画文化の黎明期から活躍してきた大御所で、手塚治虫に代表されるいわゆるトキワ荘のグループとは離れた位置にいましたが、その存在感は十分。

トキワ荘関連以外の漫画家で、貸本時代から活躍して現在でも大物として知られているといえば、後は水木しげるぐらいしか思いつきません(少女漫画家で誰か居ると思いますが、詳しくないもので……)。

「鉄人28号」はいわゆる巨大ロボットものの嚆矢とも言える作品で、発表当時は「少年」誌上で手塚の「鉄腕アトム」と人気を2分したそうですし、「魔法使いサリー」は魔法少女ものの第一号とも言える作品。

そして、「バビル2世」は超能力バトルものの一つの頂点とも言える作品ですし、「仮面の忍者赤影」は忍者ものとしてテレビドラマ化されて一斉を風靡しています(中身はかなりアレンジされていますが)。

横山作品の特長としては、ごく初期の頃の作品はいざ知らず、ある程度画風が固まった後は数十年にわたり、変化をせずにその画風のママだったことがまずは目につきます。普通の漫画家は描いていると自然と作風は変化し続けるものですが(ジョジョの荒木飛呂彦はまた極端ですが……)、横山光輝はある段階で固定化して、絵というよりは記号のようになっています。

それが多くの作品を発表できた理由の一つでもあって、手塚治虫や藤子不二雄A、藤子・F・不二雄あたりとの共通点を感じさせます。

そして、SFから中国史ものに至るまで幅広いジャンルを手掛けていますが、どれを読んでも語り口が横山作品だとすぐに分かる仕上がりになっています。

特に主人公をはじめとする登場人物たちはかなりドライというか、目的に対して手段を選ばない、敢えて汚い手段でも平気で採用するというのも、他の漫画家とは一線を画する特長だと思います。

例えばバビル2世はF市での決戦の際に正々堂々と戦うのではなく、自衛隊の助けを借りてヨミの基地を水没させて、ヨミが部下たちを救うために超能力を枯渇させて弱ったところでとどめを刺す、という手法をつかっていて、ヨミから「汚いぞ」と罵られていますが、別に気に病んだ風ではありません。もっともヨミの方も普段の戦法が物量でバビル2世が弱るまで攻め続けて、最終的に自分が出てくるという戦法なのでどっちもどっちですが。そもそも、ヨミが「汚いぞ」と罵るのも、それでバビル2世が躊躇すれば儲けものぐらいの感覚です。

同様に「伊賀の影丸」もさすがは忍者だけあって、眠り薬や痺れ薬を使ったり、勝つために手段を選ばないところがあります。

少年ジャンプに代表されるバトル漫画を読んでいると、堂々と戦うことに意義を見出している主人公が多く、そうした流れとはまた違った横山光輝流の美学を感じさせます。

それから、今回の出版とは関係ありませんが、この人は作品の映像化や二次使用に関してはかなりおおらかで、昨今の漫画家のスタンスとはかなりの違いを感じさせます。どちらが良いと一概に言えませんが、最近の漫画家は自分のキャリアで発表できる作品数がかつてと比べると激減しているので、それだけ自作に対するこだわりが強いのだろうと思います。

横山光輝も、納得できる水準に達していないと単行本化していない作品が多いなど、キチンとこだわりは持っていましたが、それはそれとして映像化にはおおらかだったのでしょう。

その結果、中には平成版バビル2世や、超電動ロボ 鉄人28号FXみたいな怪作も世に出ていますが、その代わり原作と全く違うけど人気を博した「ゴッドマーズ」や、鉄人を見事にマッシブにリファインした「太陽の使者 鉄人28号」などを生み出す母体になっています。

また、今川泰宏監督が好き勝手をやった「ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日」なども横山光輝の寛容さが無ければ、とても作れなかったことでしょう。

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