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諸星大二郎劇場 第6集 アリスとシェエラザード~騙し絵の館~  感想(ネタバレ含む)

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諸星大二郎の新作になります。

この「諸星大二郎劇場」はこの短編集で6巻目ですが、1~3巻はレギュラーメンバー無しの単発のホラーというかちょっと不思議な物語の短編集になります。

それが第4巻からアリスとシェエラザードという2人の冒険譚に絞られます。舞台は19世紀末ぐらいのロンドン。

当時はシャーロック・ホームズの作者コナン・ドイルがハマったように降霊術のようなオカルトが盛んで、このアリスとシェエラザードでもアリスの方が多少の見える人で、オカルトチックな事件に巻き込まれています。

この2人の冒険譚も3作目となると、キャラも増えてきて、前作から登場した悪い魔女のユディット、この作品から登場したメイドのスージーがレギュラーキャラになりました。

以下、少しネタバレ

全8編の短編が収められていて、そのいずれもオカルトを扱っていますが、第17話ではユディットとガチの殺し合いになるかと思いきや、最後はなんとなく共存の可能性がでてきた感じになっています。

それが第20話ではもっと進んで、アリスとシェエラザードの仕事を助けるという訳ではないのですが、特に邪魔もしないで見守る、という感じになっています。

第24話では前話の依頼人がいたずらを仕掛ける、という内容で平和なものになっています。

諸星大二郎は唯一無二の伝奇と奇想に満ちた作風で、以前はカルト的人気を誇るという評価をされていましたが(今は「カルト」は反社会的な新興宗教などを指すようになっていますが、当時はその他に特定の読者層に熱心に支持される漫画作品という意味もありました)、いわゆるカルト的人気の漫画家はあまり長期間にわたって活躍するイメージが無く、すぐに燃え尽きてしまう、ということが多かったような気がします。

その点、諸星大二郎はカルト的漫画家の代表みたいな存在だったのが、ずっと活躍し続けて、今やデビューしてから55年にもなっています。

近年の作はさすがに完成度が低くなっているのを感じますが、それでもこちらも中学生からのファンで、今年61歳になる……という人生のほとんどをファンとして過ごせたのだから、最後まで追いかけるつもりです。

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