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「勇気あるものより散れ」第8巻の感想 ネタバレ有り

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相田裕の最新作「勇気あるものより散れ」の最新8巻の感想です。

2021年よりヤングアニマルで連載中。

相田裕といえば何と言っても「GUNSLINGER GIRL」全15巻が有名で、身も心も傷つき一種のサイボーグに改造され洗脳された少女たちが、フラテッロと呼ばれる担当官とペアを組んで殺し屋をしていくというもので、淡々と流れる日常と地続きでかなりあっさりと人が死ぬ銃撃戦のシーンが地続きでつながっているという物語で、しかもその登場人斑たちの心の襞を繊細で丁寧に描写していくというもの。

その独特な作風は当時、サブカル好きたちに大きなインパクトを与えました。個人的にも第1期生を中心に描いた前半は屈指の名作であり、アニメも第1期は現在に至るまで深夜アニメのオールタイムベストだと思っています。

そして、続けて連載した「1518!」は埼玉のごく当たり前の高校生の青春を描いたもので、ラブコメと表現するほどにはコメディ要素は強くはなく、とても上質な青春もの、とでも言うべき作品に仕上がっています。1518とはいくつかの意味が重なっていますが、そのうちの一つは主人公たちの15歳から18歳に至る3年間を描くというものだったそうですが、残念ながらあまり人気にならず、主人公たちが高校2年に上がるタイミングで連載終了。

ちょうど区切りの良いところで終わっているので消化不良という感じはしないのですが、これもガンスリンガー・ガール以上に気に入っていたぐらいなので、けっこう残念に感じたものです。

そして、続けて発表したのが「勇気あるものより散れ」になります。

毎作品ごとに設定が大きく変わる作者ですが、この作品では明治初年の日本を舞台に戊辰戦争の死にぞこないの武士を主人公に、長い間闇に生きてきた不老不死の一族の娘との関わりと、その秘密に巻き込まれていく、という本格的な伝奇作品になっています。

この不老不死ぶりは、九尾の狐の伝説と西洋の吸血鬼の設定がごちゃまぜになった感じですが、そもそもあの「鬼滅の刃」の「鬼」もけっこうバンパイア風味が強いので、あまり違和感はありません。

明治の世を生きる実在の人物たちが登場するのですが、けっこうリアルに描かれていて、それが不死の一族の暗闘に関わっていくという方が、とんでも風味が強い気がします。ただ、このあたりはあの山田風太郎が数十年も前からぶっ飛んだ作品を大量に世におくりだしてくれたおかげで、後に続くフォロワーたちの諸作も相まってあまり違和感がないのが良いところ。

この8巻では、ミニスカ風味の着物を着た少女が大きく描かれていて、相田裕のガンスリ以来の性癖が感じられますが、これで明治初年を舞台にしていると言われると、あまり時代設定は気にしてない作品のように思われます。

しかし実際には、登場人物たちの立ち居振る舞いや言葉遣い、行動を律する倫理観や感性などは、江戸を生きた武士階級の人たちの矜持がいまだ色濃く残っているという描き方をしていますし、不死の一族や戊辰戦争で実戦を経験してきた武士の生き残りたちの激しい剣戟も、リアルな描き方をしています。

というか、ちょっとリアルより過ぎて、外連味に欠けると思うほどで、「鬼滅の刃」ほどでは無くても、もう少し派手なチャンバラでも良い気がします。

おかげで、相変わらず良作なのに傍目からみても盛り上がりに欠けるなあ……と思わされます。

そのクセ、着物の裾だけはミニスカ風味なので、読者サービスなのか作者の性癖がにじみ出ているのか知りませんが、ここだけすごく浮いていますね。

この8巻では、不死の一族の「母親」を殺せる殺生石を求める主人公一行と、それを阻止しようとする他の不死の一族たち、彼らの秘密を知る旧幕臣たち、明治政府の薩摩人たちが入り乱れて戦っているのですが、主人公一行は病人を抱えて半ば逃亡の旅みたいになっていて、苦しい状況。

ここからどのように活路を見出していくのかが見どころになりそうです。

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