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NieA_7 Recycle キンドルで買えます。

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NieA_7は、2000年に放映された深夜アニメになります。監督は佐藤卓哉、原作はgkとなっています。ただオリジナルアニメなので、このgkというのはキャラデザの安倍吉俊と確かプロデューサーとの連名だったと思います(記憶があやふや)。

アニメをもとにしたというか、ちょっと展開は違うのですが、もう一つのNieA_7として月刊エースネクストで安倍吉俊によって連載された漫画版は1999年から2001年に掛けて全2巻で刊行されています。

私が安倍吉俊という才能を知ったのはけっこう後になってからだったので、この2巻の漫画版を入手するのはかなり大変だった記憶がありますが、某ブックオフでどうにか買えたものでした。

 そして、どうしたことか2013年になって、その漫画版を再刊行したのが、今回の「NieA_7 Recycle」になります。

それが、アマゾンのページを見ると、未だに紙の本が在庫で有るのにも驚きですが、電子書籍のキンドル版になっているのももっと驚き。

この記事を書いている2024年3月8日現在のキンドル価格が110円です。コミックは887円なのでけっこうなセール価格です。もっともキンドルの価格は頻繁に変わるので、これが何時まで110円なのかわかりませんが、やはり記事を書かずにはいられません。

NieA_7は一種のコメディで、大量の異星人が移民として移住してきた近未来の日本を舞台に、地球人のまゆ子と異星人のニアがなぜだか銭湯の2階で同居するようになったという設定で、奇妙な友情を描いています。

この異星人というのが、実に庶民的というか昭和的というか、古臭い連中で只でさえ銭湯が有るようなレトロな町並みの中で飄々と生きています。

インド人かぶれの宇宙人のチャダや、中国かぶれの宇宙人少女のカーナなど、宇宙人連中も個性的ですが、その中でもニアはどこか野良猫のような雰囲気があって、生真面目なまゆ子とは凸凹コンビになっていて味わいがあります。

季節は夏を舞台にしているのですが、カラッと晴れた気分のよい夏というよりは、どこかどんよりとした憂鬱な夏の印象が強く、それがあまり豊かでない下町の風情とよく合っていて、独特な雰囲気の物語になっています。

安倍吉俊と言えば、マイフェイバリット深夜アニメの一つである「灰羽連盟」を生み出したクリエイターであり、厳しい冬のイメージの強い「灰羽連盟」に対して、夏の「NieA_7」が対比を生み出しています。

決して豊富な制作費を投じて作られたアニメでは無いので、ちょっと作画が厳しいところもありますが、それでもこのNieA_7も毎年梅雨になる頃に見たくなる作品です。

コミック版の方は、アニメよりもギャグ色が強く、ちょっとドタバタ感が出ていますが、これも安倍吉俊らしい色合いの作品です。

安倍吉俊は、クリエイターと上の方で書きましたが、職業をちゃんと書くとなるとイラストレーターまたは漫画家になるのだと思います。

東京芸大の日本画科卒ですが、イラストを見ると油絵風の塗りを感じさせます。在学中に描いた漫画が月刊アフタヌーンで入選し、自作のイラストをネットで公開していたら、仕事が来るようになって……という経緯で世の中に出た人で、serial experiments lainのキャラ原案でアニメの世界に関わるようになります。

ただ、lainはストーリーや設定は完全に別な人のしごとで、ゲーム版も同時進行で発売されているのですが、互いにストーリーはかなり違います。ただどちらもオンライン時代を先取りしたような集合的無意識がテーマで一種サイコホラー的な作品で、正直良くわかりません。脚本の小中千昭はThe ビッグオーもこんな感じだったので、この人が個性を出すとこんな感じになっちゃうのだろうと思います。

そして、その次が「灰羽連盟」。安倍吉俊のオリジナルの同人誌を原作というか原案にして、シリーズ構成安倍吉俊、脚本安倍吉俊、キャラデザ安倍吉俊という、作品になっています。

この時点で、安倍吉俊は漫画も描くイラストレーターといったところだったのですが、いきなり全13話のアニメシリーズの脚本をやらせるという、見出したプロデューサーの正気の沙汰とは思えない起用法により生まれた奇跡の一作とも言える作品です。ですので、決して傷のない完璧な脚本・ストーリー展開とは言えないのですが、しかし「それじゃあどこをいじる?」と聞かれると、「いやどこもいじる必要はない。不完全だけど未完成ではない」と答えなければならないような作品に仕上がっています。

そして、その次がNieA_7。こちらは灰羽連盟ほど安倍吉俊が前面に出た作品ではないのですが、それでも主人公のまゆ子が大学浪人をしているのだけど、経済的に厳しくバイトの掛け持ちでどうにか暮らしているといった状況などは、安倍吉俊が美大に入るために浪人していた時代の思い出を元にしていて、それがなんとも言えない味わいになっています。

その後は、ストーリーを追うのも難しいTEXHNOLYZE(正直、見ていて集中力が続かない)、アニメ化前提で企画したものの単行本が出ただけで終わった「ですぺら」、キャラ原案で関わったSFの「RErideD‐刻超えのデリダ」などがありますが、いずれも安倍カラーが弱く、個人的には「灰羽連盟」と「NieA_7」は一回限りの偶然が生み出した特別な作品、といった印象が強いです。

それから、漫画とは関係ありませんが、アニメの方で主題歌はSIONの「ここまでおいで」。エンディングの「ヴィーナスと小さな神様」も良いですが、アニソンらしい曲とも言えます。それに比べると、アニメの主題歌にSIONというのは随分と思い切った起用で、12話の挿入歌の「影」もそうですが、これも機会があれば聞いて欲しい曲です。

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